タナトさまの Last kingdom  設定2


 フィル

・代々何がしかの功績を残す、エリート一家の息子。
・幼い頃から徹底的に叩き込まれた英才教育は、フィルを確かに優秀にしたが情緒は未発達なままだった。
・学校ではその成績の優秀さから、大人たちに褒められこそしたがクラスメイト達からは敬遠され、フィル自身どうやって接していいものかわからなかったため、そのまま孤立。
・何かが足りない。けれど何が足りないのかわからない。欠けた存在に気が付かぬままフィルは成長していく。仕事をしていく上で不要と考える友情や、愛情こそフィルに欠けた大切な物だと知らないまま。
・常に冷静。常に理性的。常に余裕を。そういった教育はフィルをますます愛情から遠ざけ、なまじそのやり方で成功したためそのやり方は正しいのだ。とフィルに植え付けることになる。
・だからフィルは愛し方も愛され方もわからない。心動かされることも、余裕をなくすことも当たり前な恋愛は、フィルにとって無駄以外の何ものでもなかったからだ。


・正しいと信じたやり方で生きてきたのに、会社の幹部達に裏切られたフィルは助けを求めた警察でも同じ事をされ、すっかり信じてきたものが瓦解してしまい、精神的に不安定になる。
・けれど持ち前の頭脳と行動力で、虎視眈々と脱走の機会を伺い実行するも失敗。
・もはやこれは意地だった。フィルをフィルたらしめるのは、ヴィラに抗い、客を嫌悪し、いつか脱走するという希望と野心だけだった。
・やがてヴィラにカインが訪れる。フィルはカインも騙し逃げようとしたが、カインは用心深くそして狡猾だっためフィルの口車には乗せられなかった。
・カインは的確にフィルの弱点をつき、追い詰めていくが今までの奴らとは違い最後の一線だけは越えさせなかった。
・ぎりぎりのところまで曝け出させ、ゆっくり優しく侵略していく、ロビンにも使ったこの手段はフィルにも有効だった。
・なかば洗脳のように植え付けられた思想がすべて否定された時、フィルの精神は崩壊寸前だったのだ。


・その後フィルはカインに隷属し忠誠と愛を誓ったが、甘え方も愛し方も愛され方もわからず赤ん坊より不器用だった。
・探り探りの甘え方も、たどたどしい愛の言葉も、おずおずと伸ばされる腕も、焦れるほど遅く不器用だったがカインは辛抱強くまった。かつての自分をも受け止めるかのように。
・とりあえずカインの前では一人称を「ぼく」になおしたり、なるべく乱暴な振る舞いは慎んだり、笑顔を心がけたりと可愛らしい初々しさを見せる。
・フィルの情緒は驚くほど未発達で、感情の発露も混乱が多かったが、それでも一歩ずつ成長していく。彼の愛する主人の擁護の元。
・そして今までにない自信と、心の強さを手に入れたフィルはこれまでの優秀さも併せ、さらに躍進する事だろう。







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